faceboookの利用者数は全世界で8億5,000万人ほど存在し、日本国内では900万人程度いると言われている。日本国内だけでいうと半年前からのユーザ増加率は約170%であり、2012年末には1,500万人を超えるとも言われている。私の周辺でも今までfaceboookに参加していなかった昔の同級生や親せきなどが”知り合いかも?”に出現する事が多くなった。
こうしたソーシャルメディアの環境の変化を背景に企業もfacebookを活用しなければという意識が高まっている。しかし、担当者レベルは未だにどう活用すればいいのかがわからないという声ばかりである。マーケティング雑誌の販促会議が2012年4月に開催した「フェイスブックスタートアップセミナー」にも100名近い企業の広報担当者、販促担当者、宣伝担当者などが殺到したそうだが、彼らの声を聞くと「どうやって活用していいかわからない」という声ばかりだったそうだ。会社の方針としてfacebookのアカウントを開いたは良いものの、右も左もわからないので情報収集に徹しているという様子である。
なぜ、担当者は手をこまねいてしまっているのか原因は3つに分けられると思う。
1.目的が不明確
何の為にfacebookを活用すればいいのかが分からないという担当者は多いと思う。経営者サイドからすればとにかく今後はfacebookに回遊するユーザは増加するのだから、当社も何らかの取り組みをしなければ!という思いで担当者へ活用方法の構築まで任せている場合が多い。しかし、ゴールを設定しないとfacebook内でどのような取り組みをすべきかは見えてこない。商品ファンを増やすのが目的なら商品に関する新着情報や商品誕生秘話などのストーリーをシェアした方がいいのかもしれないし、商品の新規購入を促進するのなら、インパクトのあるシェアコンテンツで商品に接触した事のないユーザのエンゲージメントを促進した方がいい。
Googleが提唱しているZMOT(Zero Moment Of Truth)という概念をご存知だろうか。消費者が店頭での初回接触に至る前、オンラインメディア上での商品との接触の善し悪しでその後の商品購入に大きな影響を与えるという理論。昔、P&Gが提唱したFMOT(First Moment Of Truth)に対し、店頭接触以前の商品接触が重要性を増しているという事を象徴する理論である。ZMOTの観点から言えば、商品接触のオンライン環境にあらかじめ商品情報を用意して多くのユーザにシェアさせておくという事は商品の売上に大きな影響を与えるという事になる。
インバウンドマーケティング。つまり、消費者にとって有益な情報を提供する事で企業・商品のイメージアップや購入増加に繋げる考え方がマーケティング手法として注目されているが、ZMOTの観点から言えばインバウンドマーケティングをFacebookで展開する事は効果的だと思う。
目的に関しては色々な可能性が考えられてその企業にとってどのような取り組み方ベストなのかというのは判断し辛いところ。それならばfacebookでのコンテンツがどうあるべきかという観点ではなく、定量的に判断できる項目を取り急ぎの目的としてみるのはひとつの手だと思う、ファンのユーザ数、いいねの数、コメント数。この指標なら簡単に計測可能であるし、定量的に見れる。ある程度の母数になった時に溜まったノウハウとデータ分析を踏まえて、じゃあどうやって会社の利益にしていくかを考えれば良いというのが個人的な意見である。
2.体制が整っていない
facebook担当者が専属でfacebookを運用してる企業は少ない。大抵はWeb担当者が兼任としてfacebookアカウントを運用しているという事が多い。このような状況だと既存業務との並行となり、優先度の高い既存業務と競合した時にfacebook関連の業務は後回しになりがちだ。しかし、そんな状況を繰り返すといつの間にか他社に差を付けられてしまう懸念もある。忙しいのはみな同じ、やる事をあらかじめ決めて、時間も制限する事で毎日少しずつfacebook活用のノウハウをためていくのがベストだと思う。facebook運用のポイントは「投稿」、「検証」、「PDCA」の3つである。この3つの作業を効率化させていけば、いずれ、facebook活用のノウハウは蓄積され、利益が証明できれば、専用の部署をつくろう!という動きになる可能性もある。コンテンツの投稿は商品に関する新着情報やインバウンドマーケティング的なユーザに有益なニュース、季節の情報、問題解決ノウハウなどがウケるネタ。ポイントを掴んで行けば20分以内に情報を検索して5分でリリースも可能である。検証のポイントは”いいね!”の数とコメント数、コメントの質など、あらかじめ定義しておいて定量分析するのがいい。その後は一定のスパンでエンゲージメントがどの程度変化してその要因は何だったのかを分析する、その結果を次からのfacebookコンテンツに反映できれば合格。
3.手間がかかる
毎日投稿を継続する事は結構な負担になる。@niftyでは投稿の効率化を図っているという。@niftyでは毎日2コンテンツを継続的にfacebookに提供して約半年で14万人のユーザを獲得したという。担当者は他のweb関連の仕事をしながら投稿している。@niftyの担当者が工夫したのはネタ探し、記事作成の時間を30分とルール化しており、記事の反響をチェックする時間も投稿から30分後と翌朝のみと明確に決めた。確かにfacebookで記事を投稿する際はどんな記事を書けばいいのか悩んでしまって気が付いたら1時間経って何もできてないという事があるし、投稿後は反響が気になって無駄にログインしてしまいがちである。しかし、明確に投稿時間と検証のタイミングが決まっていれば、無駄は大きく省ける。なお、あらかじめ記事ネタを見つけるサイトを決めておくのもfacebook投稿の効率化に繋がる。
【まとめ】
facebookでの担当者の3大悩みと対策などをまとめたが、facebook活用といっても他のwebマーケティングと本質的な部分は似ていると思う、要は目的となる指標を適格に定義して、毎日効率的に継続して、PDCAを回してよりよいコンテンツで効果あげる事。シンプルでフレームワークとルールさえ社内で固めてしまえば、facebook活用への活路は開ける。