デジタルマーケティングは1990年代〜の黎明期。その後ネットバブルがはじけ飛ぶ2000年初頭までの導入期。それから2013年現在までの成長期という3つの括りで説明する事ができる。
黎明期にはインターネット広告は単価が安く、また”よくわからない”広告。
という感じの捉え方しかされていなかったので、ヤフーに広告出稿するのも大手広告代理店よりベンチャー企業の方が多かったのではないだろうか。
大手が参入のタイミングを見計らっていた所にどんどんベンチャー企業が進出していって、市場が拡大していったので、サイバーエージェント、オプト、セプテーニという大手3社(いわゆるネット広告御三家)が急成長できたのであった。
こう文章にしてしまうと味気ないが、デジタルマーケティングの分野で成長を遂げた新興企業にはそれぞれの企業にドラマがあった。今ではトントン拍子に成功した印象を持つサイバーエージェントでさえ、創業当時やインターネットバブルの崩壊でかなり辛苦をなめている。
デジタルマーケティングの創業者が書いた本の中には創業当時の物語が書かれているものがあり、それは下手したらその辺の小説よりも感動的な物語である事が少なくない。私が読んだ創業者の著書のうち、特に良かった3冊を今日は紹介する。
・「渋谷ではたらく社長の告白」藤田晋著(サイバーエージェント社長)
・「ウィルゲート 逆境から生まれたチーム」小島梨揮著(ウィルゲート社長)
・「若者よ、アジアのウミガメとなれ」加藤順彦(元有限会社日広社長:現在、日広はGMO NIKKOと社名変更)
「渋谷ではたらく社長の告白」
インターネット業界で働いている人や就職活動でインターネットマーケティング分野に興味を持っている人は一度は読む事をオススメする本です。サイバーエージェントの藤田社長が事業の立ち上げから、インターネットバブルが崩壊した後の物語を書き記した本です。藤田さんはもともとインテリジェンス出身でインターネットの可能性を求めて一念発起してサイバーエージェントを立ち上げました。最初は手探り状態。時々刻々と変わり続けるインターネット界隈の状況にもまれながら、アメーバという自社の基幹サービスを生み出すまでにはかなり苦労していたそうです。
「ウィルゲート 逆境から生まれたチーム」
SEOをメインに掲げるウィルゲートの小島さんは慶応義塾大学在学中に親友と一緒に会社を立ち上げます。彼らが企業した当時はインターネットバブルがはじけとんだ後で、業界は緩やかな成長期へと移行していました。なので、業界ではその手のプロ!という人たちが何人もウィルゲートに参画しますが、なかなか上手く行かず、会社は一時期倒産や買収の危機にひんしていたそうです。小島さんが身も心もぼろぼろだったときに今の専務である親友からの一言は涙もの。
「若者よ、アジアのウミガメとなれ」
タイトルにあるように本書のメインメッセージは「なぜ、アジアか?そして、アジアに出ていくとどうなるか?」なのですが、本書では漢学在学中の加藤氏の携わったビジネスから、NIKKOの立ち上げまで起業を通して学んできたポイントが惜しげもなく語られています。その点起業に興味がある人だけでなくデジタルマーケティング領域でビジネスする人にとっては勉強になると思います。そして、NIKKOの社長から引退した加藤氏は今アジアに注目している理由から、今後のデジタルマーケットの展望を掴むヒントにもなりそうな一冊です。
以上、デジタルマーケティング領域に携わっている人なら一度は読んでみたいオススメの3冊を紹介しました。どの本にも共通するポイントは”読んでいてわくわくする”です。
現状に行き詰まっている人やこれからデジタルマーケットで一花咲かせたい人に特にオススメします。