ニーズの創造で新しい市場が作れる




“予防歯科”という言葉を聞いた事はありますか?

呼んで字のごとくなのですが、定期的に歯医者さんに通って、虫歯や歯周病になる前に

適切なケアの方法をアドバイスしてもらったり、治療を受ける事を言います。

“予防歯科”という言葉は20年前にはほとんど普及していなかったそうです。

なぜ、広く一般に普及したのでしょうか。実はロッテのマーケティングが関係しています。

1997年、ロッテは日本では業界初の使用となる甘味料「キシリトール」を配合したガムを

販売開始します。90年代の後半は健康志向がブームとなっていました。しかし、ガムは

甘味料を含んでいるのでたくさん噛んでいる人は虫歯になるリスクを抱えてしまいます。

そこに着目したのがロッテの「キシリトールガム」です。

フィンランドの虫歯事情

「キシリトール」はフィンランド発祥の甘味料です。12歳以下のこどものDMFT(虫歯の本数)

を日本とフィンランドで比較すると、1975年ごろは日本の指数6に対してフィンランドは指数7

でしたが1988年頃には逆転現象が起こり日本が指数4なのに対してフィンランドは指数2と

日本の半分になっています。ちょうど、フィンランドで医師会がキシリトールを推奨し、普及し

たのが1980年代なので、フィンランドで虫歯の子供が減少した理由はキシリトールにある

というのには頷けます。

キシリトール販売の大きな壁

ロッテは販売開始前に環境分析を踏まえ、キシリトールガムを”虫歯になりにくいガム”と

する事にしました。そして、このコピーを謳う為には歯科医の推奨が必要でした。

しかし、日本の歯科医師たちはこのガムの販売に対して否定的でした。

なぜなら、「虫歯になる人が少なくなると歯科医の売上が減少する」からです。

言って見れば至極当然の話です。

しかし、歯科医師からの推薦はキシリトールガムのプロモーションに絶対的に必要

な項目でした。

虫歯にならない為に歯医者に行く!

歯科医からの推薦は必要だが、患者が減れば歯科医は儲からない。

それは、”歯医者=虫歯になったら行くところ”という意識が歯科医師も

含め、日本人の中にある感覚が原因でした。

ではどうすればいいか?

ヒントは欧米の歯科事情にありました。

欧米人は歯に対する美意識が非常に高く、定期的に歯科医に通います。

ロッテのマーケティング担当者はこの意識を日本に輸入できないかと考えました。

ここで生まれた言葉が「予防歯科」です。

虫歯になったら歯医者に行くのではなく、虫歯にならない為に歯医者へ行く!

この意識なら人々は虫歯にならずに健康的な歯を維持し続けられ、

歯科医師たちは虫歯患者が減っても、定期的に人が歯医者に検診に来てくれるので、

売上は減少しません。それどころか人々が審美歯科に関して興味を持てば、

虫歯治療以外のサポートとして一つの市場が開けます。

ロッテのマーケティング担当者は”予防歯科”を武器に全国の歯科医師にプレゼンし、

啓蒙をしました。その結果、「キシリトールガム」は虫歯になりにくいガムとして歯科医の

お墨付きで販売が開始できました。

顧客となる人たちのニーズを創造し、ステークスホルダーを巻き込んで”予防歯科”という

新しい市場を生み出したキシリトールガムの話でした。


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