マーケティングのフレームワークを利用してスターバックスの成功事例のケーススタディをしてみる。スターバックスのマーケティング戦略はPEST・3C分析をすれば、驚くほど追い風の中で適格な舵を切ったマーケティング戦略であった事が分かる。
【スターバックスのケース】
スターバックスはアジア進出の第一号店として、1996年に銀座の百貨店、松屋の裏に出店した。当時のカフェはコーヒーを一杯、500~600円程度で提供していた。個人経営やフランチャイズ経営による「喫茶店」が衰退傾向であった。スターバックスにとっての競合は、代わって急増したドトールやベローチェなどのセルフサービスカフェである。セルフサービスカフェは1杯あたりの単価が200円程度と安かったが、店内は狭く、喫煙者が1服する為の休憩場所として利用している程度でゆっくりコーヒーを味わうという雰囲気ではなかった。またメニューもコーヒーブレンドとジュースが2種類程度に限られていた。
セルフサービスカフェはコーヒー1杯200円程度というのが主流であり、客単価が安かった為に店内を狭くして回転率を良くする事で成り立つビジネスモデルであった。
スターバックスは北米以外での出店は無いものの、スペシャリティコーヒーストアとして、品質の高いコーヒー豆を使用して、マニュアルにより徹底した品質管理を実現していた。また豊富なメニューとコーヒーのバリエーションを提供した。店内には高級ソファーと絵画が置かれ、ファッショナブルな雰囲気を演出していた。ゆったりコーヒーを飲む雰囲気だ。
【PEST・3C分析】
PEST分析
PEST分析をすれば、政治的側面では喫煙者人口を減らそうという政策が実施された。社会側面では健康ブームであり、喫煙者の人口は減少傾向にあった。
3C分析
3C分析の観点から見る。顧客は非喫煙者の人たちである。喫煙者と別の空間でコーヒーを堪能したいと考えている層である、加えて、グルメな女性などはコーヒーのバリエーションにもこだわる、またオシャレな空間でゆったりした時間を過ごしたいという人がターゲットとなる。競合の観点ではケーススタディの部分で大部分が説明されているが、店内が狭く1服の休憩に入るようなコーヒーショップが多い、価格は200円と割安である。しかし、店内は落ち着いてコーヒーが飲める空間では無い。自社の特性としてはコーヒーの単価としては競合と比較して高い、500円~600円程度である。コーヒーを提供する価値として品質は最高レベルの豆とバリスタがいる。QSCAの観点から言えば雰囲気が抜群にいい。ゆっくり1~2時間程度、読書や仕事で時間をつぶせる。
【KBF分析】
KBFとはKeyBuyingFactorの略であるお客さまがどのような観点で購入を決定しているのかである。スターバックスのターゲットとする顧客層は非喫煙者、若い女性である。彼女たちがKBFとするポイントは何かを考える。「コーヒーの味、ゆったりとしたファッショナブルな雰囲気」この価値を提供する事で彼女たちは自分の時間をコーヒーショップで過ごすという選択肢や友人とゆったり会話するという選択肢をスターバックスでしたいと考える。
≪まとめ≫
この結果から現在のスターバックスは日本で浸透した。女性を中心に広がったユーザは男性にも波及した、男性でもスターバックスのヘビーユーザは多い。この現象の要因はPEST分析の際に提示した、非喫煙者の減少という現象が根幹の要因となっている。男性の喫煙率はここ10年で急激に低下している。タバコを吸わなくなった男性もゆったり落ち着ける空間で旨いコーヒーを飲みたいという趣向へ変化した。スターバックスは全店で全面禁煙を採用している徹底した競合差別化と環境の変化で業績を伸ばしているという事が観測できる。下の表はスターバックスの売上高の推移である。08年と11年の通期を比較すると11%程度の上昇を見せている。