イーストマン・コダックの衰退を分析|経営戦略




コダックの事例

かつてのカメラフィルム業界の生みの親、コダックが倒産の危機に瀕している。

2000年には約140億ドル(約1兆700億円)だった同社の売上高は2010年には3,600億円と2000年ほぼ同水準の商品を売る富士フィルムの売上高約1兆4,400億円の4分の1まで減少した。1990年代後半から普及し始めたデジタルカメラによりカメラフィルム各社の売上は軒並み落ちているが、富士フィルムは堅調な業績を維持し、一方のコダックは2年連続の最終赤字を計上し資金繰りに奔走していた。

カメラ・フィルムメーカの動向を時系列で整理してみる。

1888年、コダックの創業者である、ジョージ・イーストマン氏が初めて、写真用の乾板を開発し、大衆へ向けてカメラを普及させた。それ以降、”写真をより簡単で便利に楽しめるもの”にする為、コダックは数多くのフィルム関連商品を発売し続けた。1935年には当時の決定版カメラ「コダックローム」を発売し、カメラ業界の不動の地位を築きあげた。1975年。コダックは世界で初めてデジタルカメラの開発に成功していたが、商品化には至らなかった。

富士フィルムは1934年、300万円の資本金で富士写真フィルム株式会社を設立し、写真フィルム、印画紙、乾板など写真感光材料の製造を開始した。1962年には英国ランクゼロックス社との合弁により富士ゼロックス社を設立後、次々と海外支社を設立した。また同年代から年末年始時期に『お正月を写そう』をフレーズにテレビCMを展開。1986年には最初の使い捨てカメラ、「写ルンです」を発売、またインスタントカメラ、『チェキ』を発売するなどプロの写真家から中高年に至るまで幅広いユーザを開拓し、日本でのトップシェアを築き上げた。

1990年代に入り、ソニーやカシオがデジタルカメラを商品化した。発売当初は高額であったデジタルカメラもパナソニックや三洋の参入を機に低価格化が進行し、広く一般大衆が入手しやすい市場環境となり、爆発的な普及をした。2009年のデジタルカメラの出荷数は約1,000万台であるというデータがある。

1990年代後半の爆発的なデジタルカメラの普及により、コダックのシェアは減少。一方、富士フィルムはデジタル化の波にいち早く乗っていた事でデジタルカメラ以外の分野、OA機器や医療用のデバイスの開発、デジタル精密機器の開発など多角化を成功させる。

液晶パネルの主要部品、偏光板向けの保護フィルムの世界シェアは8割以上を抑えた。

米コダック社と富士フィルム社の違いを分析。

米コダック社と富士フィルム社の差異をポジション、戦略、業績の3軸で客観的に整理する。

ポジション

先駆者であったコダック社に対し、後発の富士フィルム社はチャレンジャーであった。コダック社が築き上げたシェアをどう変えるか?が当時の富士フィルム社の課題であっただろう。

戦略

コダック社はフィルム事業へこだわりがあり、事業の集中を行なった。一方富士フィルム社は事業シナジーを活かした多角化戦略を築きあげコングロマリット化している。

業績

コダック社の売上は10年で62%減少。一方富士フィルム社は10年で売上を115%向上させた。

なぜ、この様な違いが現れてしまったのか?その要因をPEST分析で検証していく。

新しい画像

Political(政治的な要因)

1993年に消費税が導入された。自由化の規制が実施される。

Economical(経済的な要因)

バブル崩壊後の不況により経済はデフレ状態へ。株価・地価も暴落している。90年代は外資系企業の参入も多くみられる。

Social(社会的な要因)

家電量販店の台頭により、家電をより安く買おうという消費者志向が広がる。それに合わせカメラの低価格化も進み、広くカメラが大衆へ浸透していく。デジタルの流れを組み、写真の利用の仕方やプリントの仕方も変わる。

Techinological(技術的な要因)

インターネットが日本で普及する。デジタル化の波を受けデジタルカメラの開発が進み、商品化される。価格は参入企業が増えるほど安くなった。

イーストマン・コダック衰退の原因

PEST分析をどう解釈するかが問題となるが、私はコダック社が外部環境(競合、消費者ニーズ)に対応できなかった事が要因となっていると考える。デジタル化の波を受け止めず、フィルムにこだわり事業を集中し過ぎた事でデジタルカメラの開発、商品化ついて競合他社に引けをとってしまったのではないだろうか。一般大衆のシェア獲得に失敗した事がコダック社の衰退を招いたと私は分析する。

PEST分析により、経営戦略を俯瞰的に見て、それを踏まえて今後の戦略の方向性を考える事が大切であると思う。


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